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臓器横断的アプローチによる腫瘍免疫に関するゲノム病理学的研究について

近年の研究によって、全身の様々な臓器に生じる癌において、その周囲の免疫細胞が重要な役割をしていることが明らかになってきました。その背景には複雑な遺伝子異常が関与していると考えられています。従来の研究は胃癌であれば胃癌、大腸癌であれば大腸癌という形で、腫瘍ごとに分けて行われてきましたが、我々は臓器を越えて共通の腫瘍に対する免疫反応が起きていると考え、この研究を計画しました。 この研究ではこれまでに手術、生検、あるいは病理解剖で摘出された臓器を使いますので,患者さんの負担はありませんし,今後の治療方針にも影響しません。また費用の負担もありません。 なお,この研究は,金沢大学ヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理審査委員会の審査を受け,研究責任者の所属機関の長の承認を得て行っているものです。

1. 研究の対象

1970年から現在までに金沢大学附属病院で、もしくは1971年から現在までに秋田大学医学部附属病院で、卵巣、子宮、腎臓、膀胱、前立腺、肺、胃、大腸、甲状腺、肝臓、膵臓、脳、心臓、大血管の摘出手術や生検を受けられた患者さん、および病理解剖の対象となった患者さん、病理診断確定目的のために金沢大学に紹介がなされた患者さんのご遺族で,この研究に参加したくない方がいらっしゃいましたら,そのことをお申し出ください。その場合,データは使いませんし,またこれからの治療に差し支えることは全くありません。また,ご自分がこの研究の対象になっているかお知りになりたい方についても,お調べしお答えいたします。

2. 研究の目的について

研究課題名:臓器横断的アプローチよる腫瘍免疫に関するゲノム病理学的研究について
この研究では免疫組織化学やゲノム解析といった方法で、全身諸臓器の腫瘍の特徴とその周りに免疫反応の状況を把握し、それらの関係性を明らかにすることを目的にしています。

3. 研究の方法について

この研究では上記(1.研究の対象)の中から一部の症例を選択し、生検、手術、病理解剖にて摘出されました臓器の残りを使います。そのときに患者さんのお名前などの個人情報を削除します。この後,必要なデータをまとめ,腫瘍の背景遺伝子異常、免疫細胞の分布、性質などとの関係についての調査を行います。タンパク発現は免疫組織化学、遺伝子解析にはシーケンス技術を使用します。集めたデータは学会や論文などに発表される事がありますが,個人情報が公表されることはありません。なお、一部の症例に関しては、先進ゲノム支援の枠組みで、Visium、Xenium等による空間的オミックス解析、single cell fixed RNAプロファイリングを東京大学新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻鈴木穣研究室において行います。

4. 解析結果の開示について

本研究で得られた結果については、患者様および代諾者さまに開示することは原則ありません。

5. 遺伝カウンセリングについて

病気のことや遺伝子解析研究についてご相談したい方には、カウンセリングを担当する専門のスタッフをご紹介いたします。また、本研究の研究計画書及び、研究方法についての資料もご希望に応じて提供することが可能です。お気軽に末尾に記載の連絡担当者までお寄せください。

6. 研究期間

この研究の期間は,金沢大学の承認日2022年7月19日から2027年3月31日までです。

7. 研究に用いる試料・情報の種類


試料:患者さんから生検、手術、病理解剖時に摘出され、保管されている病理組織検体
情報:患者さんの診療情報で、病理検査結果など患者さん個人を特定しうる情報が含まれます。

8. 外部への試料・情報の提供・公表

試料の一部は東京大学大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻 鈴木穣教授の研究室、ウプサラ大学(スウェーデン)Micke Patrick教授の研究室に送られ、Visium、Xenium等による空間的オミックス解析、シングルセルfixed RNAプロファイリング、免疫組織化学による検討に用いられます。また、本研究で得られたデータの一部は個人を同定できない状態にして、東京理科大学研究推進機構 生命医科学研究所 波江野 洋准教授の研究室に送られ解析され、またデータベース:NBDC等に登録されます。登録されたデータは日本国内の研究機関に所属する研究者だけではなく、製薬企業等の民間企業や外国にある研究機関に所属する研究者も利用する可能性があります。

9. 予想される利益と不利益について

この研究はデータの調査だけを行う研究であり,この研究に参加しても患者さんに直接の利益はありません。予測される不利益として個人情報の流出の可能性は皆無ではありませんが、そういうことがないようにデータの取り扱いについては,外部に漏れることが無いよう細心の注意を払います。

10. プライバシーの保護について

この研究では,患者さんのお名前に対応する番号をつけた一覧表を作り、データの調査には個人情報の含まれない対応番号のみを使います。データの調査のときに個人情報が漏れないように、この一覧表は,データとは別に取り扱います。 また,この研究で得られた結果は学会や医学雑誌等に発表されることがありますが、あなたの個人情報などが公表されることは一切ありません。

11. 研究参加に伴う費用の負担や通院について

この研究に参加することによる費用の負担や研究のためだけの新たな通院はありません。

12. 研究組織

研究代表者 金沢大学 医薬保健研究域医学系 前田大地

(1)金沢大学における研究責任者及び研究分担者
金沢大学医薬保健研究域医学系 分子細胞病理学 教授 前田大地
金沢大学医薬保健研究域医学系 分子細胞病理学 准教授 堀江真史
金沢大学医薬保健研究域医学系 分子細胞病理学 助教 伊藤行信
金沢大学医薬保健研究域医学系 分子細胞病理学 助教 阪口真希
金沢大学附属病院 病理部・病理診断科 准教授 池田博子
金沢大学附属病院 病理部・病理診断科 主任臨床検査技師 水口敬司

(2)共同研究機関と研究責任者
秋田大学大学院医学系研究科器官病態学講座 教授 後藤明輝
東京大学大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻 教授 鈴木穣
ウプサラ大学免疫・遺伝学・病理学部門 教授 マイク・パトリック
東京理科大学研究推進機構 生命医科学研究所 准教授 波江野 洋

13. 本研究に係る資金ならびに利益相反について

この研究の研究担当者は、この研究において企業等との間に利害関係はありません。この研究の研究担当者は、金沢大学および各研究機関の規定に基づく利益相反審査機関へ自己申告し、その審査と承認を得ています。従って、私はこの研究の実施の際に個人的な利益のために専門的な判断を曲げるようなことは一切いたしません。

14. 研究への不参加の自由について

試料・情報が当該研究に用いられることについて、患者さんもしくは患者さんの代理人の方にご了承いただけない場合には、研究対象としませんので、2025年3月31日までに下記の問い合わせ先までお申出ください。

15. 研究計画書など資料の入手について

この研究の研究計画書などの資料が欲しい,またはごらんになりたい場合は,研究に関する窓口に問い合わせてくだされば,対応いたします。

16. 研究に関する窓口

この研究の内容について,わからない言葉や,疑問,質問,自分がこの対象の対象になるかなど,更に詳細な情報をお知りになりたいときには,遠慮せずにいつでもお尋ねください。


研究機関の名称:金沢大学医薬保健研究域医学系
研究責任者:前田 大地(金沢大学医薬保健研究域医学系 分子細胞病理学)
個人情報管理者:三谷 有貴(金沢大学医薬保健研究域医学系 分子細胞病理学) 
問合せ窓口:前田 大地(金沢大学医学保健研究域医学系 分子細胞病理学)
住所:金沢市宝町13-1
電話:076-265-2190または2192【直通】