研究内容
主な研究テーマ(伊藤行信)
循環器領域の外科病理学
心血管領域の悪性腫瘍に対して次世代シーケンサーを用いた網羅的遺伝子変異解析や、心筋症や大動脈疾患、血管炎などの循環器疾患の病理について研究を行っています。
心臓内膜肉腫の病理学的および遺伝学的解析
In vivo血管新生モデルを用いた血管新生研究
医学部学生時代に発見した動脈組織片の静脈へのパッチ移植による血管新生について研究を行っています。形態観察のほかに、遺伝子発現解析、質量分析などを併用して本現象のメカニズムの解明を目指しています。
ウサギ血管新生モデルを用いた遺伝子発現解析
主な研究テーマ(阪口真希)
脳腫瘍の外科病理学
中枢神経領域に発生する様々な腫瘍に関して、臨床病理学的な観点から腫瘍の成り立ちを理解することを目的に研究を行っています。病理組織学的な検討を基盤に、遺伝子異常やDNAメチル化の解析により得られる情報を統合し、腫瘍の本質に迫る特徴を捉えられるよう取り組んでいます。
横紋筋分化を示す頭蓋内肉腫の組織学的検討および遺伝子解析
血管芽腫の嚢胞形成におけるα-SMA陽性血管壁細胞の病理学的検討
主な研究テーマ(堀江真史)
FFPE検体を用いた空間イメージング解析パイプラインの構築
肺癌を中心としたFFPE検体を対象として、Hyperionを用いたイメージングマスサイトメトリー(IMC:imaging mass cytometry)を行い空間情報を維持した免疫細胞プロファイリング等の新たな切り口での疾患解明に取り組んでいます。また並行してUppsala大学病理学教室のMicke Patrick教授と共同でUppsalaコホートの肺腺癌・約400症例の蛍光マルチプレックス免疫組織化学染色による空間イメージング解析も進めております。
イメージングマスサイトメトリーの解析パイプライン
TMAを活用した小細胞肺癌の包括的分子病理学的検討
金沢大学附属病院の病理部の協力を得て、過去約20年分の小細胞肺癌(SCLC)の手術例・約50症例、及びコントロールとして非小細胞肺癌の手術例・約50症例の組織マイクロアレイ(TMA: tissue microarray)を作成し、SCLCの包括的な分子病理学的検討を行っています。さらに空間遺伝子発現解析やゲノム・エピゲノム解析等と組み合わせる多層オミクス解析を行うことで、SCLCの新規治療標的や診断マーカーの同定、及び病態解明に取り組んでいます。
SCLCのTMA(左)と免疫組織化学染色によるmolecular subtyping(右)
病理解剖検体を用いた肺癌のエピゲノム不均一性解明
Tn5トランスポゼースを活用した新規エピゲノム解析技術に注目し、ATAC-seqによるクロマチン構造解析やCUT&Tagによるヒストン修飾解析の実験系の改良・樹立に取り組みと肺癌のエピゲノムの網羅的プロファイリングを行ってきました(Horie et al. Cancer Science. 2023)。病理解剖検体では生前には検体が採取困難である放射線・化学療法治療後や多数の転移巣の検体が入手可能であり、本エピゲノム解析手法を活用することで肺癌における原発巣・転移巣におけるエピゲノムの不均一性の解明に取り組んでおります。
ATAC-seqやCUT&Tagによるエピゲノム解析
シングルセル解析を活用した様々な疾患病理の解明
東京大学呼吸器内科や金沢大学呼吸器内科、金沢大学血管分子生理学教室と共同でヒトの病理検体やマウス疾患モデルを用いたシングルセル解析を行い、細胞の不均一性や分化の過程を詳細に解明し、様々な疾患の診断・治療への応用へつながる研究を行っております。
呼吸器疾患マウスモデル(ACO)を用いたシングルセル解析
(東京大学呼吸器内科との共同研究)
(東京大学呼吸器内科との共同研究)